2021年11月21日一軒家の解体費用の相場は?取り壊すことでのデメリットも?!安くするコツを解説!
親の実家を相続したけれど、家が古すぎて売れないから、更地にして売ろうとしている話をよく聞きます。更地にするためには家を解体しなければなりません。ほとんどの人にとって家の解体は初めての体験になるのではないでしょうか。家を解体するのにどれくらいの費用がかかるのか、解体をするまでの流れや、進め方の注意点などを解説します。
解体費用の内訳
家を解体するときにかかる費用は、その家のスペックによって変化します。「田舎の家はどれくらいの広さだったかな」「作りは木造だったかな」「ブロック塀の囲いはどれくらいあっただろうか」…。そういったことをひとつずつ確認して、解体にかかる金額を算段していく必要があります。 家を解体するときに総額でいくらかかるかを思い描くときに、抑えておきたい代表的なポイントをいくつか取り上げます。
構造
家の作り(何でできているか)は解体費用を決める要素のひとつです。一軒家で多いのは木造ですが、軽量鉄骨、3階建てなど一部では重量鉄骨によって作られている家もあります。構造による費用の違いは、木造を1とすると軽量鉄骨が1.1、重量鉄骨が1.2程度と考えておきましょう。数は少ないですがRC造の一軒家もあり、対木造比1.8~2.0くらいの費用感になります。木造より鉄骨や鉄筋の家のほうが費用がかかるのは解体時に切断する手間や、重さ、廃棄のしやすさなどが影響するためです。
立地
立地で関係してくるのは、まず地域差です。物価の高い都市部にある家を解体するのと田舎の家を解体するのとでは、人件費の影響を受けることなどから、都市部のほうが高めになる傾向があります。 また、地域によらず、解体する家が住宅密集地にあり隣家との距離がすごく近い場合や、大型トラックの出入りが難しい場所にある家を解体するときなどは作業費がプラスされ、総費用が高くなることが考えられます。
付帯工事
家を解体するときは、本体である家を壊して終わりではなく、家の付帯物も撤去するのが常です。付帯するものがどれくらいあるかはそれぞれの家で異なるため、付帯工事が総額でいくらくらいになるかは簡単には見積もれません。内容は庭木や庭石の撤去、ブロック塀や門扉・フェンスの撤去などがあります。また解体した家の中にあった家具などの残置物を処分する場合も付帯工事として別に費用が発生する扱いです。
解体業者
解体をするとき、依頼先の窓口によって費用が変わることがあります。たとえば家に関する相談窓口としてはハウスメーカーや工務店がなじみ深いかもしれません。こうしたところに解体を依頼することももちろんできますが、実際に解体作業をするのは下請けとなる解体工事業者となることがほとんどです。そのため、解体工事業者へ直接依頼をするときと比べ、費用は割高になることが考えられます。個人からの依頼を直接受ける解体工事業者もありますので、探してみると良いでしょう。
解体工事は定額で行えるものではないので、実際に解体する家を見てもらい、解体工事の範囲を決めてから費用を見積もります。見積もり費用が適正かどうかを知るには、複数の会社で見積もりを取ると良いでしょう。比較の条件は工事内容が揃っていることです。各社で違いが出ないように、見積もりを調整し、何度か出してもらう必要があるかもしれません。
まず家の構造別の解体費用の単価です。
家の構造 | 30坪の解体費用 | 50坪の解体費用 | 80坪の解体費用 |
---|---|---|---|
木造 | 100~150万円 | 180~250万円 | 200~300万円 |
鉄骨造 | 150~200万円 | 200~300万円 | 300~500万円 |
RC造 | 180~300万円 | 250~400万円 | 500~800万円 |
1坪はおよそ3.3m2です。坪は日本の古い面積の測り方の単位で、一般にはあまりなじみはないのですが、この業界では坪数や坪単価で話されることも多いので、覚えておくと良いでしょう。
上記単価をもとに構造別に30坪(約100m2)、40坪(約132m2)、50坪(約165m2)の家を解体するときの相場を計算してみましょう。
あくまで目安になりますが、だいたい次の表のようになります。
構造 | 1m2あたりの解体費 | 坪あたりの解体費 |
---|---|---|
木造 | 10,000円/m2 | 約33,000円/坪 |
鉄骨造 | 12,000円/m2 | 約40,000円/坪 |
RC造 | 18,000円/m2 | 約60,000円/坪 |
もし、解体する家の立地が大型車や重機が入っていけないようなところにあったり、住宅密集地にあったりすると、個別要因として上記の相場よりも高くなる可能性があります。また解体する家に地下や地中埋蔵物(井戸や浄化槽など)があると、その部分の掘り出しが必要になるため、費用が加算されます。
解体する家にアスベストの使用があるときは、アスベストを除去する作業が必要です。アスベストを吸うと肺がんなど甚大な健康被害をもたらす恐れがあることから、工事にあたっては防護服を使用するなど厳重な対策が必要となり、その分のコストが上乗せされます。国土交通省は2007年の施工実績データより算出したアスベスト除去のための単価の目安を以下のように公表しています。
アスベスト処理にかかる費用の目安
アスベスト処理面積 | 除去費用 |
---|---|
300m2以下 | 2.0万円/m2~8.5万円/m2 |
300m2~1,000m2 | 1.5万円/m2~4.5万円/m2 |
1,000m2以上 | 1.0万円/m2~3.0万円/m2 |
付帯工事や廃材処理にかかる費用は個別の要因や、その容量の計測方法が会社によって異なります。次の表はあくまで目安として参考にしてください。
付帯工事にかかる費用の目安
工事内容 | 工事費用 |
---|---|
庭木の撤去 | 1万円~5万円/本 |
ブロック塀の撤去 | 2,000円/m2~2,500円/m2 |
門扉・フェンスの撤去 | 20,000円~/式 |
残置物の処分 | 1.5万円~3万円/t |
廃材処理にかかる費用
廃材の種類 | 処理費用のめやす |
---|---|
木くず | 10,000円~/m3 |
石膏ボード | 25,000円~/m3 |
ガラス陶磁器 | 22,000円~/m3 |
タイル | 25,000円~/m3 |
コンクリートガラ | 25,000円~/m3 |
建物の大きさにもよりますが、30坪程度の2階建て木造住宅を解体して出てくる廃材の量は、4tトラック5~10台分となります。1台あたり、20m3の積載した場合、シミュレーションすると、廃材処理だけで100万円超えるケースが良くあります。
一軒家の解体の流れと費用の見積もり方法
一軒家や建物の解体費用は、大まかには「解体のしやすさ」「廃棄する建材の量」「土地の整地」の3つで決まります。家の解体を流れを追いながら、その費用がどのように見積もられるのか手順を解説します。
1.見積り
1-1.現場調査 1-2.解体費用の見積り
まずは見積もりです。これには必ず現地で「解体のしやすさ」を確認する必要があります。
たとえば、建物が木造なのか、鉄筋コンクリート造なのかによって解体のしやすさが異なるため、費用も大きく変わります。また、解体にはショベルカーなどの重機が必要になるケースもありますが、道路の広さによっては、重機が搬入しにくいケースもあります。そして隣接する家との距離間も重要になります。商業地域のように、隣の建物と1m程度しか離れていない場合は、解体費用は値上がる傾向にあります。
解体費用の総額いくら?
あくまで目安程度ですが、木造住宅であれば、1m2あたり1.5万円(解体費用1万円+廃材処理・整地費用5千円)ぐらいで、30坪の家なら総額150万円前後になります。住宅によっても変わるため、この金額は参考程度にとどめておいてください。
2.解体準備
2-1.ご近所への挨拶・案内 2-2.引込配管、配線の撤去の手配
つぎに解体準備です。すぐに解体工事に入れるわけではありません。騒音が出るため、ご近所への挨拶を行い、どんな作業をどのくらいの期間実施するのか案内する必要があります。これを怠ると後々トラブルの元になります。また、電気・ガス・水道を停止して引込線の撤去を依頼します。
3.解体工事
3-1.足場養生の組み立て 3-2.建物内部(内装)の解体 3-3.建物自体の解体
いよいよ解体です。まず、足場を作り、防音シートで覆うことで、騒音やホコリがご近所の迷惑になることを防ぎます。その後、内装材となる断熱材、ドアなどの建具、設備機器、備え付け家具を解体し、次に骨組みとなった梁や柱、屋根を解体。そして、最後にコンクリートの基礎を掘り起こし撤去します。
4.廃材処理、整地
4-1.廃材の分別・搬出 4-2.地中の確認とコンクリートガラ等の除去 4-3.土地の整地
最後は後片付けです。建築廃材を木やガラス、コンクリートなどに分別して、トラックで運びだします。地中にも基礎の破片であるコンクリートガラが残っていないか確認して、問題なければ、整地工事(土地を平らに綺麗にすること)をして完了となります。
整地にかかる費用
整地費用は、土地に何もない状態であれば、1m2あたり500円前後(1坪1600円ほど)で済みますが、地盤改良や木々の伐採が必要なケースでは、1m2あたり3万円(1坪10万円ほど)になるケースもあるため、できるだけ草木を取り除いておくなど整地しやすい状態にしておくと良いでしょう。
家の解体費用は安くできる?
家の解体は本体の取り壊しのみならず、付帯工事や立地状況による追加費用まで考えると思いのほか高額になる可能性があります。できるだけ解体費用を抑えるにはどうしたらよいのでしょうか。
付帯工事、廃棄物を減らす
解体費用を安く抑えるポイントは、自分でできることは事前にやっておくということです。次の3つを行っておくだけで、数十万円から数百万円の違いがでてきます。
・家財道具は全てを処分しておく ・敷地内の雑草を除草しておく ・小さな庭木は全て伐採しておく
複数の業者へ見積もりを依頼する
複数の業者を比較し、安い会社を選んだり、他社の見積もりをもとに価格交渉をしたりすることで費用を下げることができます。また、ハウスメーカー、工務店への依頼と、解体業者へ直接依頼した場合と、それぞれの見積もり費用を比べてみても良いでしょう。
ただし、安さだけで選ぶと後々のトラブルにつながる可能性もあるので、信頼できる会社かどうかのチェックも忘れずにしておきましょう。
補助金や助成金を利用する
自治体によっては、家の解体に対して数十万円規模の支援をしているところがあります。老朽化した木造住宅がそのまま残されていると、街の景観を損ねたり、火災が起きたときに延焼し被害を大きくする可能性があるため、こうしたことを予防するために補助金や助成金の制度が用意されています。
たとえば東京都台東区では「老朽建築物等の除却工事費用の助成」制度があり、昭和56年5月31日以前に建築された建築物で、倒壊の危険性が高いと判断されたものを解体(除去)する場合、50万円を限度(除却工事費の1/3以内)に助成金が支払われます。
対象となる家が立地する自治体にこのような制度がないか、事前に確認しておきましょう。
解体ローンを利用する
解体費用を安くするものではありませんが、解体費を一括で払えないため工事をためらっているなら、解体ローンを利用する方法もあります。利用目的の定めがないフリーローンよりも金利が低く、担保も不要な商品が、複数の金融機関で提供されています。
一軒家を解体するデメリット
どのようにして解体費用が決まるのか、ご理解いただけましたでしょうか?
しかし、更地にすることでデメリットが生じるケースもあります。解体してから後悔しないためにも、注意点をまとめました。
固定資産税や都市計画税が高くなる
住宅が建つ土地には固定資産税を減額する(200m2以下で6分の1にする)という優遇措置があります(小規模住宅用地の特例といいます)。しかし、更地にすると、この税金の優遇措置はなくなり、固定資産税は最大で6倍になります。
固定資産税の優遇措置
・200m2以下の部分(小規模住宅用地): 課税標準の6分の1に軽減
・200m2超の部分(一般住宅用地): 課税標準の3分の1に軽減
都市計画税の優遇措置
・200m2以下の部分(小規模住宅用地): 課税標準の3分の1に軽減
・200m2超の部分(一般住宅用地): 課税標準の3分の2に軽減
再建築不可となるケースがある
「市街化調整区域」という言葉をご存知でしょうか。都市計画による区域区分制度というものがあり、行政が道路・公園・下水道などのインフラ整備を効率的に行うために土地に指定する区域区分になります。
市街化調整区域に指定された土地では、_家の建築が制限_*されます。新しく家を建てる場合や、再建築する場合、増改築・リノベーションをする場合にも、自治体に許可を得て建築する必要がでてきます。
解体しないほうが売れるケースもある
解体して売却する場合は、解体費用を売却額に上乗せする必要がでてきます。つまりそれだけ購入者の負担は増えます。
古民家カフェがブームになるように、古い家でも自分で売却できる可能性はあるのです。空家が残った状態でも売却できるか不動産会社に確認してみましょう。
記事のおさらい!よくある質問
一軒家の解体費用は何がポイント?
一軒家を解体するときの費用は「解体のしやすさ」「廃棄する建材の量」「土地の整地」の3つで決まります。見積もりを依頼するときは、必ず現地調査をし、この3つの視点を踏まえて費用を出してもらうようにしましょう。
木造住宅の解体費用の目安は?
木造住宅であれば、1.5万円/㎡(解体費用1万円+廃材処理・整地費用5千円)が一般的な目安金額です。30坪の家なら総額で150万円前後です。大型作業車が出入りしやすいかどうか、周囲との近接がどの程度かでも金額は変わります。
解体工事の流れを教えてください
見積り、解体準備、解体工事、廃材処理・整地の順番で進めていきます。見積りは現地調査が必要です。解体準備は近所への挨拶や引込配管、配線の撤去の手配があります。解体工事は短くても1週間、廃材処理・整地を含めると最低でも10日以上はかかるでしょう。
一軒家を解体するデメリットはありますか?
一番は固定資産税や都市計画税の値上がりです。住宅用の建物がある土地は200平米以下の部分で固定資産税が1/6に、都市計画税が1/3にそれぞれ減額されます。家を解体し更地にしてしまうと、軽減措置はなくなりますので、その分が実質的な値上がりとなります。