2021年4月3日相続した土地はすぐに売却したほうがいい?

親や親族から土地を相続したあと、しばらく放っておいてしまう人は意外と多いものです。とくに家が建っていない土地の場合、老朽化の心配がないことから「とりあえず持っておこう」と放置してしまいがちではないでしょうか。

しかし、用途がない土地であれば、早期に売却してしまったほうが税金面で得をする場合があります。今回は、相続した土地を売却する際の税金と、相続時の節税制度である「取得費加算の特例」について解説していきます。

相続した土地はすぐに売却すれば節税になる場合も

相続した土地は、すぐに売却すると税金面で有利な場合があります。これには二つの理由があり、一つは「固定資産税を払わなくて済む」こと、もう一つは「特例制度の利用で節税できる」ことです。

まず、土地には所有しているだけで税金が課されます。具体的には、土地の「固定資産税評価額」に対し、1.4%(標準税率の場合)にあたる金額が、1年に一度課税されます。1.4%という数字を見ると「そんなに大した金額ではない」と思う方もいるかもしれませんが、これは案外バカにできない税率です。

仮に、評価額1,000万円の土地を相続したとすると、1年に課される税金は14万円です。所有しているだけで月に1万2,000円出費が増えると考えると、決して小さくない金額といえます。家計の負担が増加するため、土地を遊ばせておくなら売却してしまったほうが得なことも多いのです。

ただ、土地を売却して利益が発生すると、獲得した利益に対して税金がかかります。このことから、売却に踏み切れない方もいるのではないでしょうか。こんなときに活用できるのが「相続財産譲渡の取得費の特例」です。

相続財産譲渡の取得費の特例について

「相続財産譲渡の取得費の特例」とは、相続した不動産を処分する方の税金を軽減するための制度です。具体的にどのような制度なのか、どんな場合が対象なのかを見ていきましょう。

相続財産譲渡の取得費の特例とは?

土地を売却すると、譲渡によって発生した利益(譲渡益)の額に応じて、所得税と住民税が課税されます。相続財産譲渡の取得費の特例は、このときに課される税額を軽減できる制度です。所得税・住民税の課税基準となる譲渡益(課税譲渡所得金額)は、売却で得た収入から取得費や譲渡にかかった経費、控除などを引いて残った金額です。式にすると以下のとおりになります。
課税譲渡所得金額=譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 各種控除
相続財産譲渡の取得費の特例を利用すると、取得費に支払った相続税の金額の一部を加算できます。結果として書類上の課税譲渡所得金額が減少するので、税金も安くすることが可能です。具体的に相続税の支払い分をいくら加算できるかは、以下の計算式で求めることができます。
取得費加算額=相続税額×土地の相続税評価額÷債務控除前の相続税課税価格
仮に、合計財産8,000万円を子供3人で分け、3,000万円相当の土地と預貯金1,000万円を長女A子さんが相続したとしましょう。この場合、A子さんの取得費加算額は以下のとおりです。

165万円(相続税額)×3,000万円(土地の相続税評価額)÷4,000万円(A子の相続財産)=123万円

このケースだと、123万円を譲渡益の取得費として加算できることになります。

特例を受けるための条件

税金面で有利になる相続財産譲渡の取得費の特例ですが、誰でも利用できるわけではありません。特例を受けるためには、以下の要件を満たしている必要があります。

イ 相続や遺贈により財産を取得した者であること
ロ その財産を取得した人に相続税が課税されていること
ハ その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること※引用元:No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁

一番目と二番目については「財産の相続人であり、相続税を支払った人」という理解でOKです。三番目の項目は、ほとんどの場合「相続発生から3年と10カ月」と解釈して問題ありません。

10カ月という期間は相続税の申告期限が「相続の発生から10カ月」と決まっていることから設定されています。ただ、やむを得ない事情で期限に間に合わない場合は2カ月延長できるため、上記のような記載になっています。

基本的には3年10カ月以内が特例を利用できる期限だと思っていただければ問題ないでしょう。

相続した土地の売却にかかる税金は?

土地を売却すると、各種税金の支払いが発生します。主な税金の種類は以下のとおりです。
・印紙税
・所得税
・復興所得税
・住民税
それぞれどのような課税基準になっているのか、詳しく紹介します。


●印紙税

印紙税は、簡単に言うと土地売買の契約書に対して課される税金のことです。税率は契約書の額面に応じて以下のように変化します。

印紙税

●所得税

所得税は、土地の売却で得た利益に対して課税されます。通常、売却した年の翌年の2月16日から3月15日までが支払期限です。

なお、所得税と住民税は、土地の保有期間(相続の場合は被相続人の保有期間)に応じて「短期譲渡所得」「長期譲渡所得」の2パターンの税区分が用意されています。所得税の場合、税率は以下のとおりです。

譲渡所得

保有期間によって税率が大きく異なるため、あらかじめざっくりと計算しておきましょう。譲渡で得た代金のうち、税金として支払う分は使わずに確保しておくと、支払いの際に慌てずに済みます。

●復興特別所得税

復興特別所得税は、平成23年の東日本大震災の復興のために設定された税金で、平成25年から令和19年までの期間、所得に通常の所得税に追加して課税されるものです。

税率は、対象年の基準所得税額の2.1%です。所得税と一緒に2月16日から3月15日までに支払います。

●住民税

住民税は、所得税と同じく譲渡益に対して「短期譲渡所得」「長期譲渡所得」の二つの区分で課税されます。保有期間ごとの税率は以下のとおりです。

譲渡所得2

住民税が課税されるのは、売却した年の翌年6月以降です。売却のタイミングによっては1年以上経過してから請求されるため、多額の請求で慌てずに済むよう、住民税と同じく納税用の代金を確保しておきましょう。

土地の管理・活用が難しい場合は相続後手放すことも視野に入れる

相続した土地は「売ってしまうのは忍びない」「そのうち何かに使うかも」という思いから、手放さずにとりあえず保有してしまう人も多いものです。しかし、土地は所有しているだけで税金がかかるうえ、節税制度が使えるのは相続から3年10カ月の期限つきです。長期保有にはリスクもあるという点も覚えておいてください。

相続した時点で活用できる予定がなく、管理も面倒であれば、早めに売ってしまうのも一つの選択肢になります。すぐに売却するかどうかは別として、実家売却.comへに査定を依頼して土地の価値を調べてみてはいかがでしょうか?

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