2021年9月12日【2021最新版】不動産売却でよく耳にする  「路線価」とは?直近3年分の傾向も解説!

路線価、公示価格、基準地価など、ひとつの土地には、いくつかの価格がついています。ここでは、毎年7月に国税庁から発表される「路線価」についてご紹介します。

1. 路線価とは?

路線価と聞くと、鉄道が関係しているように思われがちですが、鉄道の路線とはまったく関係はありません。路線価は、相続税や贈与税を計算するときの基準となるもので、主要道路に面する標準的な宅地1平方メートルあたりの評価額のことです。毎年1月1日時点の価格として評価し、7月1日頃に国税庁が公表しています。

1-1. 路線価の種類

路線価には、相続税路線価固定資産税路線価の2種類があります。それぞれの違いは、次の通りです。

相続税路線価          国税局(税務署)が決定するもので、相続税や贈与税の算出に使います。一般的に路線価といえば、この相続税路線価を指すことが多いです。
固定資産税路線価各市町村が決定するもので、固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税の算出に使います。

1-2. どんなときに使うのですか?

例えば土地を相続した場合、土地の価格を算出して相続税の基礎控除額を超える場合は、相続を開始した日の翌日から10カ月以内に税務署へ申告しなければなりません。このとき土地の価格を算出するのに、路線価を使用するのです。

1-3. 目安は公示価格の80%

路線価は、公示価格、売買実例価額、不動産鑑定士による鑑定評価価額、精通者意見価格をもとに決められます。目安としては、おおむね公示価格の80%程度です。全国の主要道路で価格が決められるのですが、まず県庁所在地での最高路線価を決定し、その価格をもとに各所の路線価を決めるという方法が採られています。

1-4. どこで教えてもらえますか?

公表された路線価は、お住まいの地域にある税務署で見せてもらえます。

また、国税庁のホームページにある「路線価図・評価倍率表」や、一般財団法人資産評価システム研究センターが運営するサイト「全国地価マップ」でも確認できます。

2. 路線価~2021年(令和3年)の傾向は?

国税庁は2021年7月1日、2021年1月1日時点の路線価を発表しました。

全国の約32万地点の標準宅地での全国平均を見てみると、前年比は0.5%のマイナスで、6年ぶりの下落となりました。都道府県別の路線価では、39都道府県が下落しています。最も大きな下落率となったのは、静岡県で1.6%でした。

新型コロナウイルスの影響による訪日外国人(インバウンド)客の減少や、観光地・商業施設の需要減少が大きく影響したと見られます。都市部は全体的に下落となりましたが、人口減少が進む地域との二極化は前年から変わらず続いています。

今後は、ワクチン接種の普及でインバウンドの受け入れや観光・商業施設の需要を回復できるかが大きな焦点となりそうです。

2-1. 三大都市圏の路線価平均はすべて下落

三大都市圏(東京・大阪・愛知)は、都道府県別の路線価は、三大都市圏(東京・大阪・愛知)の路線価の平均は、すべて下落という結果となりました。

東京は1.1%、大阪は0.9%でどちらも8年ぶりの下落、愛知は1.1%で9年ぶりの下落となっています。
また、大阪の中央区心斎橋筋2(心斎橋筋)はマイナス26.4%で、全国最大の下落率となりました。

2-2. 観光・商業施設の下落

2021年の路線価は、観光・商業地が大きく下落する結果となりました。

観光地や商業施設の多い都心部を中心に、39都府県で下落しています。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、インバウンド需要が縮小したことや、観光地・商業施設の時要請による利用者の減少が影響したと見られます。

2-3. 都道府県庁所在地での路線価は?

都道府県庁所在地の最高路線価は、前年度と同様に東京の中央区銀座5丁目中央通りが最高額(4,272万円)となりました。

都市部は全体的に下落傾向なのに対して、再開発が進む仙台・北海道など一部の地方では、前年の上昇率を上回る結果となりました。
ですが全体で比較すると、都市部と地方の二極化傾向は変わらず進んでいます。

2-4. 都道府県庁所在地最高路線価ランキング2021

第1位東京都中央区銀座5丁目 中央通り4,272万円
第2位大阪府大阪市北区角田町 御堂筋1,976万円
第3位神奈川県横浜市西区南幸1丁目 横浜駅西口バスターミナル前通り1,608万円
第4位愛知県名古屋市中村区名駅1丁目 名駅通り1,232万円
第5位福岡県福岡市中央区天神2丁目 渡辺通り880万円

出典:国税庁「令和3年分都道府県庁所在都市の最高路線価

第1位となったのは、2020年も中央区銀座にある文具店「鳩居堂」前でした。36年連続1位を記録しています。ですが、前年と比較してマイナス7.0%の下落となっています。
第2位の大阪御堂筋.もマイナス8.5%の下落となり、2021年度の路線価は全国22都市でマイナスとなりました。

3. 路線価~2020年(令和2年)の傾向は?

国税庁は2020年7月1日、2020年1月1日時点の路線価を発表しました。
全国の約32万地点の標準宅地での全国平均を見てみると、前年比は1.6%のプラスで、5年連続での上昇、上昇幅も過去5年で一番大きくなっています。

都道府県別の路線価では、21都道府県が上昇しています。上昇率トップは沖縄県で10.5%でした。訪日外国人(インバウンド)客の増加や都市部の再開発が、前年度に引き続き上昇をけん引したと見られます。

一方、調査時点では新型コロナウイルスの影響を受けていなかったため、国税庁は今後の地価推移状況(広範な地域で大幅な地価下落が確認された場合など)によって、措置を検討する方針とのことです。

人口減少の続く地方では下落も続いています。上昇率が高い地域とそれ以外の地域の二極化も続いており、2020年は26県で下落となりました。
2025年に大阪万博が開催予定など都市部の再開発は見込めるものの、新型コロナウイルスによるオリンピックの開催延期、北海道や沖縄など全国の観光地でのインバウンド(訪日外国人客)減少の影響が懸念されており、地価上昇がいつまで続くかは不透明です。

3-1. 三大都市圏は昨年に引き続き上昇

三大都市圏(東京・大阪・愛知)は、前年度までに引き続き路線価は上昇しています。1月の評価時点では当初の予定どおりオリンピック開催への期待もあり(オリンピック開催延期は3月決定)、東京の上昇率は5.0%と7年連続での上昇となり、前年度(4.9%)を上回っています。

3-2. 新型コロナウイルス感染拡大によりインバウンド需要が消え先行き不透明に

インバウンド(訪日外国人客)の増加により地価上昇を続けていた全国の観光地は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により様相が一変。コロナ禍の影響を反映していない2020年分の路線価は上昇傾向となったものの、今後の先行き不透明感に対しては危機感が漂っています。

3-3. 都道府県庁所在地での路線価は?

都道府県庁所在地の最高路線価は、依然として都市部と地方の二極化傾向が続いています。都市部では10%~40%の上昇率が見られる一方、地方での上昇率は小幅、または前年価額維持の傾向となっています。また地方都市のうち、東北と九州の上昇率は、令和元年より緩やかになっています。

3-4. 都道府県庁所在地最高路線価ランキング2020

第1位東京都中央区銀座5丁目 中央通り4,592万円
第2位大阪府大阪市北区角田町 御堂筋2,160万円
第3位神奈川県横浜市西区南幸1丁目 横浜駅西口バスターミナル前通り1,560万円
第4位愛知県名古屋市中村区名駅1丁目 名駅通り1,248万円
第5位福岡県福岡市中央区天神2丁目 渡辺通り880万円

出典:国税庁「令和2年分都道府県庁所在都市の最高路線価

第1位となったのは、2020年も中央区銀座にある文具店「鳩居堂」前でした。35年連続1位を記録しています。
第2位の大阪御堂筋での上昇率は35.0%。県庁所在地のうち上昇率が30%を超えたのは大阪・横浜(34.5%)・沖縄(40.8%)の3県でした。

4. 路線価~2019年(平成31年/令和元年)の傾向は?

国税庁は、2019年7月1日に2019年1月1日時点の路線価を発表しました。全国の約32万地点の標準宅地での全国平均を見てみると、前年比は1.3%のプラスで、4年連続での上昇となりました。上昇幅もここ4年で一番大きなものとなりました。都道府県別の路線価では、19都道府県が上昇し、都市部を中心に上昇傾向が広がっています。
一方で、人口減少の続く地方では下落も続いています。上昇率が高い地域とそれ以外の地域の二極化も続いており、2019年は29都道府県で下落となりました。

2020年にオリンピックを控える東京や2025年に万博が開催予定の大阪などの都市部の再開発、北海道や沖縄など全国の観光地でのインバウンド(訪日外国人客)需要増加で好調ではありますが、地価上昇がいつまで続くかは不透明です。

4-1. 三大都市圏は昨年に引き続き上昇

三大都市圏(東京・大阪・愛知)は、外国人投資家の不動産取得の減少がみられましたが、再開発が続いていることから路線価は上昇しています。オリンピックを来年に控える東京は4.9%と6年連続での上昇となりました。

4-2. 引き続きインバウンド需要の影響が大きい

訪日外国人客が増加している大分県などがマイナスからプラスに転じました。大分・韓国間の格安航空会社(LCC)定期便の増便などが大きな要因と考えられます。

今年も北海道や沖縄など観光地での上昇率が高い傾向にありました。

4-3. 都道府県庁所在地での路線価は?

都道府県庁所在地の最高路線価は、依然として都市部での上昇傾向が目立ちます。地方では、下落幅が縮小しているものの、二極化傾向は色濃く続いています。

4-4. 都道府県庁所在地最高路線価ランキング2019

第1位東京都中央区銀座5丁目 中央通り4,560万円
第2位大阪府大阪市北区角田町 御堂筋1,600万円
第3位神奈川県横浜市西区南幸1丁目 横浜駅西口バスターミナル前通り1,160万円
第4位愛知県名古屋市中村区名駅1丁目 名駅通り1,104万円
第5位福岡県福岡市中央区天神2丁目 渡辺通り787万円

出典:国税庁「令和元年分都道府県庁所在都市の最高路線価

第1位となったのは、2019年も銀座にある文具店「鳩居堂」前。34年連続1位を記録しています。第2位の大阪御堂筋での上昇が27.4%と大きく目立ちました。

引用:【2021最新版】不動産売却でよく耳にする「路線価」とは?直近3年分の傾向も解説!|不動産売却HOME4U

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